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小学校3年生の彼は、学校が大好き。
授業が終わると校庭でひとしきり遊んでから家に帰るのが、彼の日課でした。
ある日のこと、担任の先生から
「今度、校庭に新しいコンクリートの山の滑り台ができます。
工事中はそばに寄らないようにしましょう」
と言われました。
彼もみんなと一緒に「はあい!」と大きな声で返事をしました。
そして、「先生がいけないって言ったんだから気をつけなくちゃ」と思いました。
彼にとって、とても大切な校庭です。
きっと誰よりも強く先生の言葉を守ろうと思ったに違いありません。
こうして数日がすぎていきました。
コンクリートの山は、もう大分出来上がってきており、
彼の好奇心は大きくふくらんできました。
ちょっとだけそばに行って見てみよう。
心の中にきちんと置いた先生の言葉と一緒に
彼は山に近づいて行きました。
ところが、その山の上でラジコンを走らせて遊んでいる子がいました。
上級生です。
彼より体の大きい子です。
力の強い子です。
でも、先生の言葉は彼の勇気になりました。
「ここで遊んじゃいけないんだよ」
上級生は、キッと振り向きました。
そして、彼をにらみつけ、「お前誰だ!」と叫ぶやいなや、
いきなり彼に向かって突進してきたのです。
彼は、必死で逃げました。
怒りの矛は校門を出ても止まりません。
彼は走って、走って、走り続けました。
全ての力を走るという行為のためだけに使ったような気がします。
いつの間にか、上級生の姿は見えなくなっていました。
やっとの思いで自分の家に駆け込むと、
彼はお母さんに抱きつきました。
お母さんの胸にぎゅっと顔を押しつけました。
すると張りつめていた恐怖が溶け出していくようでした。
「もう大丈夫だよ」
お母さんの優しい声に、彼は本当に安心したのです。
ここが一番安全な場所。
ここが一番気持ちのいい場所。
世界一の場所なんだ、と思いました。
※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。
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