【千夜一夜物語】今月のお話は「3年目の勇気 」です。
プレイバッカーズは、プレイバックシアターを上演する劇団です。
topics 自主公演Vol.16は、無事終了しました!! ありがとうございました。
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千夜一夜物語
2006年
男と女の間
私の原点
勝ち組
足をひっぱりたくはないけれど
あふれだした涙
世界一の場所
3年目の勇気
女子の応援団長
隣同士の不思議な絆
終わりなき苛立ちの日々
2005年
制御不能な気持ち
金木犀の宝箱
ロッキーからの贈り物
打ち砕かれた偏見
人生がすっきりするように。
やっと吐き出せたヘドロ
また会おうね
消えた傷口
もうひとつの目線
凍りついた部屋
幻の川を夢見ながら
手を繋いで、思い出の中へ
2004年
早く来てくれ!
灰色の長い夜が明けるまで
天国からの使者
信念と現実の狭間で
動き出した時計
同じはずの違う愛情
新しい侵略者
反対側の気持ち
2つの選択
ぼくの小さな冒険
まっすぐな優しさ
巣立つとき
10年間の感謝をこめて。
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千夜一夜物語

3年目の勇気

私は子育て支援の施設で働いています。
ここには、ざまざまな事情でサポートを求める親子がやってきます。
その中に、じっしていられないという障害を持つ男の子と
そのお母さんがいました。
ある時から二人は、毎日のようにやってくるようになりました。
お母さんはいつも彼のケアに一生懸命で、
とてもとても頑張っていました。


そんな二人を私は毎日、見続けてきました。
そして、いつしかあることを感じるようになっていました。


お母さんが、彼を抱きしめすぎている。
もう少し手を放してあげてもいいのではないか? 


この気持ちが強くなるにつれ、
いつか伝えなければ、と思いはじめていました。
でも、どうしたらまっすぐに伝えることができるだろうか?
愛するがゆえに一心不乱に息子をケアするお母さんにとって
この意見は冷酷すぎないだろうか。
私の気持ちは誤解され、二人はもう来なくなってしまうのではないだろうか?
お母さんの心を傷つけてしまうという恐れと裏腹に、
伝えたいという気持ちも膨らみ、
私はいつも大きく揺れていました。


二人を見つめ続けて3年目。
もうそろそろいいかもしれないと思った私は、
思い切ってお母さんに話すことにしました。


「あなたは抱え込みすぎ。もう少し手をゆるめてもいいんじゃない?」


ああ、やっぱり話さなければよかった。
次の日から、二人は来なくなり、後悔の毎日が始まりました。
子どもは、元気にしているかな?
お母さんは、どうしているだろう?
二人のことが心配で心配でいてもたってもいられません。
でも、何もできない。
何をすればいいかもわからない。
どんよりとした気持ちひきずったまま、3週間がすぎていきました。


そんなある日のことでした。
二人が突然現れたのです。
子どもは私のところに駆け寄ってきて、
そのまま隣に座ってじっとしています
じってしていられない子のはずでした。
でも、今までできなかったことができている!
それは大きな驚きでした。
そして、とても嬉しくなりました。
しかも、お母さんは、私の言葉で気分を害したことを丁寧にあやまり、
「ありがとう」と深々と頭を下げてくれたのです。
私の思いがお母さんに伝わった。
しかも、なにより子どもが明らかに変わった。
子どものこの驚くべき変化は、私の言葉をお母さんが取り入れてくれた、
3週間後の結果だったのです。
後悔の後の喜びはひときわ輝き、
感動となって私の心を明るく照らし出しました。
私のすばらしい体験です。


※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
  語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
  また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。

( 2006.4.3 )
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