【千夜一夜物語】今月のお話は「制御不能な気持ち」です。
プレイバッカーズは、プレイバックシアターを上演する劇団です。
topics 自主公演Vol.16は、無事終了しました!! ありがとうございました。
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千夜一夜物語
2006年
男と女の間
私の原点
勝ち組
足をひっぱりたくはないけれど
あふれだした涙
世界一の場所
3年目の勇気
女子の応援団長
隣同士の不思議な絆
終わりなき苛立ちの日々
2005年
制御不能な気持ち
金木犀の宝箱
ロッキーからの贈り物
打ち砕かれた偏見
人生がすっきりするように。
やっと吐き出せたヘドロ
また会おうね
消えた傷口
もうひとつの目線
凍りついた部屋
幻の川を夢見ながら
手を繋いで、思い出の中へ
2004年
早く来てくれ!
灰色の長い夜が明けるまで
天国からの使者
信念と現実の狭間で
動き出した時計
同じはずの違う愛情
新しい侵略者
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2つの選択
ぼくの小さな冒険
まっすぐな優しさ
巣立つとき
10年間の感謝をこめて。
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千夜一夜物語

制御不能な気持ち

妻が妊娠したことがわかりました。
僕たち二人はともに喜び合い、
10ヶ月の間、我が子の誕生の日を心待ちにしながら
新しい家族を迎える準備を、二人でしてきました。
これまで経験したことのない幸せと希望にあふれる日々でした。


僕は父親になる。
そう、出産の時は、がんばる妻の側で自分がしっかりと支えよう。
産みの苦しみ、そして誕生の感動を二人で味わおう。
この10ヶ月、二人で過ごしてきた時間の集大成なんだ。
なにがあっても僕が支える。
揺るぎない決意が僕の体に新しいエネルギーを生み出してくれるようでした。
そして・・・・
ついに、その日がやってきました。


妻の陣痛が始まり、僕たちは病院へと向かいました。
僕は万全の心構えで
規則的にやっくてる陣痛が少しでも和らぐようにと奮闘しました。
しかし、痛みは徐々に激しくなり、
ついに妻の表情から余裕が消えました。
彼女はほとんど怒ったような状態になり、
「もう産みたくない!」とまで言い出したのです。
僕は、そんな風に取り乱した彼女を目の前に、
おろおろするばかりでした。
なんと言っていいのか、何をすればいいのか、
見当がつきません。


一方、妻についていた病院のスタッフは、
落ち着いた様子です。
妻の側に寄りそい、ただただ彼女をなだめてくれます。
僕よりも、他人である病院スタッフの方が
よっぽど彼女を支えていたのです。


僕は、結局この大事なときに何の役にも立たなかった。
あれほど力になることを心に誓い、
この日を迎えたはずなのに。
僕は、完全に無力でした。


おいてきぼりにされた僕とは裏腹に
妻は誰よりも頑張って、
ついに私たちの赤ちゃんが生まれました。
先程までの嵐のような状態は終わり、
静かな部屋の中で、僕はその小さな赤ちゃんを抱いてみました。
その途端です。
なにかが胸のなかに込みあげてきました。
そして気がつくと号泣していました。
どこからこんな気持ちがこみ上げてくるのか
どこからこんなに涙があふれ出すのか
理性は破壊され、もはや制御不能になってしまいました。
きっと、僕たちから誕生した新しい命、その強さと輝きが
直接的に僕の胸に響き、
歓びと感動が涙となってあふれたのだと思います。


今、僕は父親になりました。


※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
  語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
  また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。

( 2005.12.1 )
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