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社会福祉士を目指し勉強中の僕は、
実習に出ることになりました。
実習先は高齢者施設。
ここでは、職員の方々が限られた時間で沢山の利用者のケアをこなし、
とても忙しく働いていました。
僕は、高齢者の女性を担当することになりました。
彼女の問題は、昼と夜の生活パターンが逆になっていること。
そして僕の使命は何とか日中起きていてもらうことでした。
果たしてどうしたら彼女の昼夜を正常にできるのだろう。
僕は興味のありそうな話題をあれこれ考えて話しかけました。
しかし、昼間の彼女のまぶたは閉じていくばかり。
今にも深い眠りに落ちていきそうです。
「この人を起こしておくことなんて僕にできるのだろうか?」
僕の努力はすべて無意味に消えてしまう。
これ以上の努力は、もうできそうもない!
そんなふうに思い始めた時、
歌が好きだという情報を思い出しました。
「うまくいくかどうかわからないけど、とにかくやってみよう。」
すっかり自信を失った僕は一筋の光を逃すまいと
彼女に問いかけてみました。
「歌を歌いませんか?」
すると、彼女は自ら歌いだしたのです。
やーまだのなーかの、いっぽんあしのかかし・・・
それは、僕の全く知らない歌でした。
それでも、なんとか彼女の口ずさむフレーズを追い、
3回繰り返す頃には、すっかり一緒に歌えるようになっていました。
何度も繰り返して歌っているうちに、
悶々としていた頭の中に、新しいメロディーが広がり、
彼女がこの歌とともに過ごしてきた過去に
思いを巡らせていました。
それは、なぜか切なく、ほんのりと温かい気持ちでした。
気がつくと、眠そうにしていたことがまるで嘘のように
彼女の目は楽しさに輝いていました。
自分とは違う人生経験を重ねてきた1人の人を
ケアするということはどういうことなのか。
たとえ僕の想像は間違っていたとしても
今そこにいる存在だけを見て接するのではなく、
その人の生きてきた時代に思いを馳せながら接していく。
その人の思い出の中へ一緒に行って、一緒にいてあげる。
そんなことを垣間見た気がします。
これから社会に出て行く僕にとって
貴重で、とても温かな出来事でした。
※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。
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