【千夜一夜物語】今月のお話は「同じはずの違う愛情」です。
プレイバッカーズは、プレイバックシアターを上演する劇団です。
topics 自主公演Vol.16は、無事終了しました!! ありがとうございました。
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千夜一夜物語
2006年
男と女の間
私の原点
勝ち組
足をひっぱりたくはないけれど
あふれだした涙
世界一の場所
3年目の勇気
女子の応援団長
隣同士の不思議な絆
終わりなき苛立ちの日々
2005年
制御不能な気持ち
金木犀の宝箱
ロッキーからの贈り物
打ち砕かれた偏見
人生がすっきりするように。
やっと吐き出せたヘドロ
また会おうね
消えた傷口
もうひとつの目線
凍りついた部屋
幻の川を夢見ながら
手を繋いで、思い出の中へ
2004年
早く来てくれ!
灰色の長い夜が明けるまで
天国からの使者
信念と現実の狭間で
動き出した時計
同じはずの違う愛情
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10年間の感謝をこめて。
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千夜一夜物語

同じはずの違う愛情

30年ほど前のお話です。
母が病気に倒れ、入院生活をすることになりました。
私は当時自分が住んでいた静岡から、
時間を作ってはせっせと母の元へと通いました。
静岡と大阪の距離は、頻繁に通うには遠すぎましたが、
病気の母のことを思うと、そんなことは小さな問題でした。
30分でも1時間でもいい、
出来る限り多くの時間を、母と一緒にすごしてあげたいと思っていました。


私には兄、妹、そして年の離れた弟がいます。
まだ若い弟は、自分自身のことに忙しいのか、
お見舞いもときどき思い出したかのように来るだけでした。
けれど、たまに現れた息子を見る母の目はきらきらと輝き、
顔中ほほえみがこぼれ、とても嬉しそうです。
私はそれをみるにつけ、心の中にモヤモヤとしたものを
感じずにはいられませんでした。


「私の方がこんなに母の近くにいるのに・・・」
「弟は思い出したかようにしか現れないのに・・・」
「同じこどもなのに、どうして?」


誰に言うでもない気持ち、言葉にするべき感情とも違う
そんな説明のつかないもどかしさは、私の心にとどめをさすこともなく
じわじわとわき上がる灰色の雲となって、全身に広がっていきました。


こうして消化不良のまま、30年という年月が流れました。
今、私には一人の息子と、一人の娘がいます。
息子は海外へ転勤となり、遠く離れたところへ行こうとしています。
一方娘は私のそばにいます。
ところが、いつしか私は、離れたところにいる息子のことばかりを
考えている自分に気づきました。
娘のことは、ときどき気にするだけだというのに・・・。
まさにあの時の母と同じ姿なのです。


息子と娘、どちらも私の子だということに違いはありません。
二人がどこにいても、どんな状況になっても
胸を張って、かけがえのない最愛の子どもたちだと言えます。
けれど、なぜ私は息子のことばかりを考えてしまうの?
この愛情の種類の違いは何なのでしょう?


30年前のモヤモヤは依然心の中に住んではいます。
でも今、なぜなのかわからないのですが、
母の気持ちが、理解できるような気がしています。




※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
  語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
  また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。

( 2004.7.7 )
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