【千夜一夜物語】今月のお話は「新しい侵略者」です。
プレイバッカーズは、プレイバックシアターを上演する劇団です。
topics 自主公演Vol.16は、無事終了しました!! ありがとうございました。
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千夜一夜物語
2006年
男と女の間
私の原点
勝ち組
足をひっぱりたくはないけれど
あふれだした涙
世界一の場所
3年目の勇気
女子の応援団長
隣同士の不思議な絆
終わりなき苛立ちの日々
2005年
制御不能な気持ち
金木犀の宝箱
ロッキーからの贈り物
打ち砕かれた偏見
人生がすっきりするように。
やっと吐き出せたヘドロ
また会おうね
消えた傷口
もうひとつの目線
凍りついた部屋
幻の川を夢見ながら
手を繋いで、思い出の中へ
2004年
早く来てくれ!
灰色の長い夜が明けるまで
天国からの使者
信念と現実の狭間で
動き出した時計
同じはずの違う愛情
新しい侵略者
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2つの選択
ぼくの小さな冒険
まっすぐな優しさ
巣立つとき
10年間の感謝をこめて。
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千夜一夜物語

新しい侵略者

僕が生まれて育った町は、
首都圏から遠く離れたところにあります。
大学に通うために東京に出てくるまでの20年もの間、
僕にとってはその町がすべてでした。


「男の子はピシッとしなければ!」
「男の子は泣いたりしてはいけない」


この町では、小さい頃から当然のことのように教えられてきました。
両親や、親戚のおじさん、学校の先生たち、
そして、周りの大人たちみんなからそう言われてきました。
たぶん 僕がその社会で、
「男らしく」「強く」生き抜いていくために。


僕はもともと、強くて、いわゆる「男らしい」という
性格ではなかったのかもしれません。
なぜなら、時には何かにもたれたくなったり
悲しくて泣きたい気持ちになることもあったからです。


けれどいつしか僕は、
弱くなりがちな自分の心を封じ込めて
ピシッとすることが、自然にできるようになりました。
何かにもたれたくなったときもピシッ。
泣きたくなった時もピシッ。
それが逆に、僕の男としての生き方のプライドのようなものになって、
自分を支えてくれている気さえしました。


ところが、
「男の子だから、こうしなさい!なんて一度も言われたことないよ。」
と、大学の友人は さらりと言います。
しかも、驚いたことに彼は決して珍しい存在ではありません。
同じことを言う人は 他にもたくさんいました。
僕の当たりまえの世界とまったく違う世界が友人の中に存在する。
たったひとつのクラスの中でさえ、何人もいたのです。


僕はうろたえました。
自分が正しいと信じ、疑う余地さえ与えられなかった「男らしさ」とは
いったい何だったんだろう?
人生のガイドラインになっていた「ぴしっとする」生き方とは
何だったんだ?
それよりも、今までの僕自身はいったい何だったのか?


町の大人たちみんなの愛情で育った僕の常識は
その根っこを引き抜かれて、宙に浮いてしまったような気がします。
そして、想像さえできなかった新しい世界が今、僕の心の中へ侵入してきました。
決して小さくはない衝撃ですが、
それでも今、僕はここにいます。




※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
  語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
  また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。

( 2004.6.1 )
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