【千夜一夜物語】今月のお話は「反対側の気持ち」です。
プレイバッカーズは、プレイバックシアターを上演する劇団です。
topics 自主公演Vol.16は、無事終了しました!! ありがとうございました。
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千夜一夜物語
2006年
男と女の間
私の原点
勝ち組
足をひっぱりたくはないけれど
あふれだした涙
世界一の場所
3年目の勇気
女子の応援団長
隣同士の不思議な絆
終わりなき苛立ちの日々
2005年
制御不能な気持ち
金木犀の宝箱
ロッキーからの贈り物
打ち砕かれた偏見
人生がすっきりするように。
やっと吐き出せたヘドロ
また会おうね
消えた傷口
もうひとつの目線
凍りついた部屋
幻の川を夢見ながら
手を繋いで、思い出の中へ
2004年
早く来てくれ!
灰色の長い夜が明けるまで
天国からの使者
信念と現実の狭間で
動き出した時計
同じはずの違う愛情
新しい侵略者
反対側の気持ち
2つの選択
ぼくの小さな冒険
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巣立つとき
10年間の感謝をこめて。
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千夜一夜物語

反対側の気持ち

僕の愛犬「シロ」は、
かわいくて、人なつっこくて、近所の子どもたちにも人気者。
散歩に出かけたら必ず
道端ですれ違う人たちみんなにしっぽを振って犬特有の挨拶をします。
誰にでも臆することなく愛嬌を振りまくシロ。
僕の最愛の犬です。


そんな自慢のシロと一緒に、その日は
予防注射のため動物病院へと出かけました。
道行く人にしっぽを振る挨拶は、言うまでもなく完璧なシロ。
行きも帰りも完璧なシロ!
向こうからやってきた見知らぬ女性にも
シロは親愛の情をふりまきながら
人なつっこい顔をして、近づいていきました。
僕は、少し嬉しくて、シロのはしゃぎぶりを
ほほえましくも誇らしく見ていました。
「まあ、かわいいわね」の言葉を
受け取る準備をしながら。


「シッ シッ!」


不意をつかれました。
彼女へ準備した行動が、一瞬のうちに真っ白になって
正反対のものとすり替えられました。
けれどシロは、容赦なく近づいて、彼女をジーっと見続けています。


「シッシッ、あっちにいって!!」
女性の態度はさらに硬直化し、冷たくシロを追い払います。
シロは仲良くしようとしているだけなのに・・・
そう思う気持ちと裏腹に、
女性の嫌悪感はストレートに僕の心を攻撃しました。
僕は少しうろたえながらも
なんとかシロを女性から離し、家路へつきました。


家に着いた後、動物病院でもらった
予防注射についての説明書を読んでいると、
ある一行がふと、僕の目に入ってきました。
「世の中は、犬の好きなひとばかりではありません」
突然、彼女の嫌悪感が僕の体中を駆け巡りはじめました。
それは今まで経験したことのない
不思議でどんよりと重くのしかかってくるような感情でした。

どんなに僕がシロをかわいいと思っていても、
そのシロをいやだと思う人もいるんだなぁ。

僕はこうして初めて実感として、正反対の気持ちを確認したのです。
それは、もうひとつの準備を心の中で形成できた瞬間でした。



※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
  語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
  また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。

( 2004.5.10 )
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