【千夜一夜物語】今月のお話は「ぼくの小さな冒険」です。
プレイバッカーズは、プレイバックシアターを上演する劇団です。
topics 自主公演Vol.16は、無事終了しました!! ありがとうございました。
自主公演情報
合宿
テーマ別活動
スケジュール
活動実績一覧
プレスリリース
千夜一夜物語
2006年
男と女の間
私の原点
勝ち組
足をひっぱりたくはないけれど
あふれだした涙
世界一の場所
3年目の勇気
女子の応援団長
隣同士の不思議な絆
終わりなき苛立ちの日々
2005年
制御不能な気持ち
金木犀の宝箱
ロッキーからの贈り物
打ち砕かれた偏見
人生がすっきりするように。
やっと吐き出せたヘドロ
また会おうね
消えた傷口
もうひとつの目線
凍りついた部屋
幻の川を夢見ながら
手を繋いで、思い出の中へ
2004年
早く来てくれ!
灰色の長い夜が明けるまで
天国からの使者
信念と現実の狭間で
動き出した時計
同じはずの違う愛情
新しい侵略者
反対側の気持ち
2つの選択
ぼくの小さな冒険
まっすぐな優しさ
巣立つとき
10年間の感謝をこめて。
Photo Gallery
プレイバッカーズについて
プレイバックシアターについて
LINK
Let's Watch(掲示板)
千夜一夜物語

ぼくの小さな冒険

ぼくは、いつも良い子でした。
どんな時でも常識を考えて行動するように
両親からもそう教えられていました。
常識こそが人間の価値を決める最大のものさしだと思っていたのです。


あれは小学3年生の時。

父は銀行員で、職業柄転勤も多く、
ぼくはそれまで何回も転校をしていました。
その年も、やっとなじんだ小学校から
新しい学校へ移ることになったのですが、
当時、ぼくにはミツルくんという仲の良い友達がいました。
ぼくとはまったく正反対の、わんぱくで、時に大胆な行動をとる、
どちらかというと、「良い子」ではない部類に入る子でした。


「ぼく、転校することになったんだ」

そうミツルくんに伝えてから、どれくらいの日が経ったでしょうか。
彼はある日、ぼくの手にひとつの小さな贈り物を差し出しました。

「これあげる」

それは腕時計でした。
小学生のこどもにとっては、あまりにも不釣り合いな
今から思えば数万円はするだろうと思われる腕時計。
ぼくの常識というものさしでは、決して測ることのできないプレゼント。

こんな高級な贈り物、もらっちゃいけないよなぁ。
お母さんも、お父さんも、返しなさいっていうだろうなぁ。
返さなきゃいけないよな・・・・

でも、ぼくは返したくなかった。
ミツルくんの友情の証をそのまま返したくなかった。
良い子でなくてもいい。
この時計は特別なんだ。
どうしても持っていたい!

ぼくは、誰にも分からないようにして、
自分の部屋にざわめきだつ心と一緒にそっとしまっておきました。

ところが、ある日のことでした。
「お友達から、時計、もらったんじゃない?」
母から突然そう言われたのです。
ぼくの心は再びざわざわと音をたてはじめました。
どうやら、ミツルくんのお母さんが
家から時計がなくなったことに気づき、
それがぼくに贈られたことを知ったらしいのです。
当然、時計はミツルくんの家へ戻ることになりました。
ぼくの、方向を失った気持ちががぐるぐる渦巻く心の中を
一直線に突きぬけて、
それは、振り返ることなく去っていってしまいました。

こうしてぼくの小さな冒険は、自分よりも大きな力によって
あっという間に幕を閉じました。



※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
  語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
  また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。

( 2004.3.5 )
問合せ先
プレイバッカーズ代表 宗像佳代
〒233-0011  横浜市港南区東永谷1-15-30-305
電話&FAX:046-873-2521
E-mail:info@playback-az.com
 
copyright(c)2008 playback-AZ