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もうすぐ2歳になる息子の食事には牛乳が欠かせません。
そして、自立へのきざしなのか、近頃は何をするにも
「自分で!自分で!」というようになり、
おぼつかない手つきで牛乳を飲もうとします。
私はいつも、こう言います。
両方のお手手で持つんだよ。
こぼれないようにね。
けれど、毎日、毎日、牛乳はコップからこぼれました。
もう勘弁してもらいたい。
第二子を身ごもった私は、
大きなおなかで屈んでカーペットを拭くたびに
そう思いました。
その日も、私は当然「こぼさないようにね」
と言うのを忘れませんでした。
ところが、ほとんど食事の準備ができたそのとき
マタニティウェアのはじがテーブルの上の牛乳パックにひっかかり、
あろうことか1リットルの牛乳パックは、
私の大きなおなかと正面衝突。
みるみるうちに、お腹とテーブルをつたって
白いミルクは床へと流れ出ました。
お母さんだってこぼしたじゃないか!
いつも叱っているくせに!
息子の口から出るであろう叱責の言葉を思って、
私はとっさに身構えました。
しかし、私の耳に届いたのは、まったく別の言葉でした。
お母さん、冷たかった?
耳を疑いました。
彼のあたたかい言葉にうろたえました。
まっすぐな優しさにとまどいました。
そして、私はとんでもないことに気がついたのです。
ああ、彼はいつも冷たい思いをしていたんだ。
牛乳がこぼれるたびに、一人ぼっちで冷たいなあって思っていたんだ。
「おかあさん、冷たいよ」と言いながら飛び込める
あたたかい胸が、すぐそばにあるというのに・・・。
私をこれっぽっちも責めることなく、
ましてや、たった2歳の息子が母を思いやっている・・・。
何が起こっているのか事実が明らかになっていくと同時に、
母親として、わが身の至らなさ、未熟さを思い知りました。
息子の優しさに包まれることで、
彼の優しさの対極にある自分の身勝手さを
まざまざと見せつけられました。
お母さん大丈夫だよ。
息子にそう返事しつつも
今までたった一人で冷たさを背負い続けてきた息子の心を
もう手遅れなのに、あたためなくちゃともがいていました。
からだ中が罪悪感に包まれていました。
※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。
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