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毎週、週末になると家族全員でハイキングに行く。
それは私にとってはごく当たり前の習慣でした。
父、母、兄、そして私の4人は、それぞれの背中にリュックをしょって、近くの公園や山へと足をのばしていたのです。
ところが、兄が中学生になった頃、「僕はもう行かないよ」と突然の離脱宣言。週末のハイキングは3人になりました。
しばらくすると今度は母が「私はもう行かないから」と言い出しました。
以来、私は父と2人だけで、いつものハイキングを楽しむようになりました。
2人だけのハイキングでしたが、なぜ兄がやめたのか、なぜ母がこないのかなどという疑問を抱くことなく、私は楽しんで出かけていました。
あれは私が中学生になった頃だったと思います。
「今日はハイキングに行きたくないなあ」となんとなくそう思ったのです。
こんなふうに思ったことなど一度もなかったのに、この日ばかりは行きたくなかった。
理由などありません。でも、私が行かなければ父は一人になってしまう・・・父は一人でも行くのかな?それともやめてしまうのかな?
あれこれと父の気持ちを考えるとどうしていいものか心は揺れ動きました。心臓の鼓動が聞こえてくるほどです。それでも私は行きたくなった。
「今日は私、行かないね」
父は「わかった」と一言残しただけでした。
そのまま玄関の扉を開け、いつものようにハイキングにでかけていったのです。
私は、父のことが気がかりで、すぐさま自分の部屋の窓を少しだけ開け、父の姿を探しました。きっと今頃はマンションの階段を降りて道にでた頃かな、そろそろ見えてもいいんだけどなあ・・・そんな思いを巡らせていると、道に出たばかりの父の姿が目に飛び込んできました。正直言って、ドキッとしました。そして一歩一歩遠ざかっていく後ろ姿が私の目と心をとらえました。
今ならまだ間に合う!今なら私、走って追いつける。一緒にハイキングに行ける。
でも、動けなかった。
ハイキングにいかなくてよかった!という気持ちと裏腹に、父はきっと寂しいだろうなあという気持ちがごちゃごちゃになって、私の心は不思議な煙に包まれているようでした。
今考えるとこの時が、私の親離れの時だったのではないかと思います。
私は複雑な気持ちを引き連れて、新しい旅立ちへの一歩を踏み出しました。
※このストーリーは、実際に語られたストーリーを元に書かれておりますが、
語った方のプライバシー保護のため、実際とは異なる部分もございます。
また、ご本人のご好意のもと、掲載しております。
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