●<ソーシャルチェンジワークショップ> ケーススタディ

日 時 : 2009年6月1日(月) 19:00〜20:30
会 場 : 横浜中央YMCA 9階チャペル
人 数 : 42人
協 賛 : 横浜YMCA夢すくすく特別賞 助成事業
      (株) HRインスティテュート
       Asia Proactive Partners
2009.6.1

●全体の流れ
 
1. 即興による再現ドラマ (手法 ストーリー)
「恐怖」
  私は、日本が人身売買において加害国であるという現実を知り、あるNGOの支援活動に関わるようになった。そこでは人身売買で日本に連れて来られた女性を助けるために、電話相談を設けていた。女性は見張られている中、命がけで一瞬のすきを探して電話をする。私達も、そんな彼女たちの電話を取り逃すまいと24時間体制だった。ある日、電話を取ると突然男の怒鳴り声がした。「お前ら、あいつらを逃がしただろう!!」それは人身売買業者からの電話だった。公表されてない事務所の電話番号に、なぜかその電話はかかってきた。男の怒鳴り声は、延々と続き、電話を切ることも許されなかった。今にも彼らがこの場に踏み込んでくるのではないかという恐怖に、私は凍りついた。
   
「吐き出された感情」

10代後半の子どもたちのためのシェルターに、18歳の少年が入所してきた。父親の暴力がひどく家に居られなくなり、体を売りながらホームレスとして生活していたところを保護されたのだ。入所以来、彼はにこにこと愛想よく過ごしていた。しかし、ある日、弁護士と今後について電話で相談をしている最中、彼が突然キレた。急に電話をおいて叫び、部屋にこもってしまった。声をかけても「うるせぇ!死ね!」という言葉が返ってくるばかりで、私は圧倒されてしまった。何が彼を爆発させたのか、今でもはっきりとわからない。これまでのひどい体験から、受けてきたものを、吐き出せる相手に吐き出したのかもしれない。しかし、私たちも、こうした子どもたちをいつまでも保護できるわけではない。スタッフとして、彼らを自分の力で生きていけるようにエンパワーする必要がある。

   
「痛みを伴う現実」
  昨年の夏、スタッフとして、タイのYMCAパヤオセンターを訪ねた。センターでは人身売買帰国女性を支援している。そこで聞いた話の数々に私は、ショックを受けた。帰国女性の8割が日本からであったこと。帰国したのは、入国管理局に駆け込むか、妊娠して働けないので送還された人たちだということ。性産業に従事した仲間が性行為の最中に客から首を絞められて死んだこと。パスポートが偽造であることを承知の上、自ら、貧しい家族を救うために出稼ぎに行く人もいること。村自体がそれを当然としていること。村に戻ってからは、周囲の人との接触を断って孤独に生きてきたこと、など。彼女たちは、センターの生活で人への信頼を取り戻していた。別れ際に「収入はわずかだけれど、こうして毎日生きていることが幸せ」という言葉を聞いてうれしかった。センターが提供している自立のための職業訓練などが実を結んでいることを実感できた。そして、この事実を日本の人たちに伝えていかなければと思った。
   
2. 気持ちを音と身体で表現する(手法 動く彫刻)
人身売買について遠いことのように感じていたが、今日演じられているのを観てリアルに感じた。
   
自分も支援活動をしたいが、家族や自分の身が危険にさらされるのではないかと思うと決断でき ない。
   
ソーシャルワーカーとして、性的な搾取を受けていた子どもたちに関わっていた。その中で、子どもた ちが自分からごく自然であるかのように、過去のつらい体験を話しだすというような、まさに回復の一歩に遭遇する場面がいくつもあった。そんな光輝く一瞬の積み重ねが、私を動かし続けている。
   
3. アンケート記入・回収
社会的問題をドラマを通して表現することに、とても感銘を受けた。観る人によって様々な受け取り方ができると思った。
   
人身売買は外国の話、と思っていた私にはショッキングだった。ただの支援でなく、自分の身を危険にさらして命がけの支援ということを知って、その覚悟と気持ちに対して軽々しく「スゴイ」とは言えない気持ち。テラーの話だけでも考えさせられるところがあったが、お芝居を通すと頭だけではなく肌で感じさせられた。自分の体がこわばったり、ふわりとゆるんだり、変化していくようだった。
   
いわゆるお芝居とは違う、その一瞬だけの芸術。二度と同じものは生まれない貴重な時間。この劇場空間にいる人だけでシェアする時間は、観る人たちが心に思い悩んでいることや自分の思いをさらけ出しても良い、ということを感じさせる。不思議。隣にいる知らない人も信頼できるような感覚。
   
非常にリアル。何を感じて、見た後もどうすればいいのか考えこんでしまった。
   
現在看護師をしている。自分の職場でも、HIV感染者が状態が落ち着ついて、入管より強制的に帰国するまで入院するケースがある。もっと私たちにもできることがあるのでは?と考えさせられた時間だった。今日のことを語り続けていこうと思う。
   
非常に重たい課題を目にし、頭の中がグラグラした。人類の大きな課題だと思う。

※ストーリー掲載にあたり、私たちは、ストーリーを語ってくださった方(テラー)のプライバシー保護のために、以下のことを遵守しています。
・事前にテラーの了解を得ています。
・テラーが特定できないように、表現に配慮しています。


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