| |
|
| ・ |
私が私であるために |
| |
嫁いだばかりの頃、夫も夫の両親も当たり前のように私を「 S 子」と呼び捨てにした。幼い頃から、両親にも親戚の人にも、「 S 子さん」と呼ばれて育ったので、「 S 子」と呼び捨てにされることが不愉快だった。どうにも我慢がならなくなった私は、「 S 子さんと呼んで欲しい」と夫に強く主張した。彼は照れながら、「 S 子さん」と言うようになった。夫が働きかけてくれたので、両親も「 S 子さん」と呼ぶようになり、やっと私は安心して暮らせるようになった。 |
| |
|
| ・ |
人の道にはずれること? |
| |
職場で年上の女性が、私を叱る剣幕に唖然とし、言葉を失ってしまった。それは、「朝のひととき、おいしいコーヒーをひとりでゆっくりと、楽しむときの幸せな気分」について同僚と語り合っていたときのことだった。「女性が結婚もせず、一人で暮らして人生を楽しむなんてとんでもない。人の道にはずれている」と私は頭ごなしに説教されてしまった。一緒にいた同僚が「人それぞれ、その人、その人の生き方があるのですから」ととりなしてくれたが、彼女は聞く耳を持たなかった。なんとも驚いたできごとだった。 |
| |
|
| ・ |
近未来の不安 |
| |
会社を退職した OB 仲間との忘年会でのできごと。私よりも 3 歳年上で70歳になる先輩が酔ったせいか、「おもらし」をしてしまった。本人はもちろん、一緒にいた私たちも戸惑いを隠せなかった。迎えにきた妻と共に帰って行った彼の姿を思い出すにつけ、決して人ごとではないと思う。仕事人間で家庭を顧みずに生きてきた。年金制度も妻に有利に変わる。熟年離婚の噂も聞く。果たして、この先、私の人生は大丈夫なのだろうか。すぐそこまで忍び寄っている未来への不安が募る。
|
| |
|
| ・ |
スタートは同じでも |
| |
娘の働く姿をずっと見てきたが、どうにも納得がいかない。同じレベルの学歴、同じ会社で働いているにも関らず、男性はキャリアを積み、娘は足踏み状態。自力で道を開こうとした彼女は、社会保険労務士の国家資格を取った。しかし、会社では何の評価もされず、相変わらず日の目を見ない職業人生を歩んでいる。なんとも理不尽なこと。母親として直接的に問題を解決してやることはできないけれど、女性が正当に評価される社会を願って勉強会に参加したり、周囲に働き掛けをしたりしている。
|