●男女共同参画社会におけるプレイバックシアター

「ジェンダー・フリーが私の体験になる日」
和光大学ジェンダーフリースペース主催


日時:5月19日(水) 午後4分〜6時 
場所:和光大学 J104教室
2004.5.19

女性学の草分けである井上輝子先生に始めてお目にかかったのは1995年、北京で行われた世界女性会議でのことでした。この国際会議では、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、中国、そして日本からは石井浩子と宗像佳代が国際チームを結成し、3つの大きな公演を打ちました。そのうちの一つに井上先生ほか日本の女性学の諸先生が観客として来てくださったのでした。
そして日々は流れ、昨年の夏にヌエックで井上先生に再会したことから今回のイベント開催という運びになりました。出会いから9年目に実を結んだプレイバックシアターの上演だったということです。
ゴールデンウィークもあけた5月の中旬、団員4名(コンダクター、アクター2名、ミュージシャン)とスタッフ2名が伺って、ワークショップと公演の2部構成で「特別授業」プレイバックシアターをご一緒しました。以下、2部の公演で語られた3本のストーリー概要をご報告いたします。

 3本のストーリー概要

1. 19歳のとき、私は車の免許を取った。さっそく車を乗り回して楽しい時間を過ごし、家に戻ったのは次の日の朝。すると「何事だ!けしからん!」という父親の雷。兄二人による朝帰りの行動は我が家では日常的な出来事として受け入れられていたので私は驚いた。父親の「女の子なのだから、駄目だ」という叱責に私は真っ向から反撃。「朝帰りの是非を問うとき、何故、男だから、女だからということが理由になるのか?納得いかない。」私の反論にたじろぎ、怒りの持っていきようがなかった父は「勝手にしろ!」という捨て台詞。これ幸いと、私は勝手にすることにした。解放された気分で、今はとても幸せ。
   
2. 1年半つきあった彼との別れは私に大きな打撃となった。楽しい日々だったし、学校での悩み、家庭でのこと、色んな相談を彼にはしてきた。ふと気がつくと彼の私への態度がなんとなくおかしい。私からの電話、メイルがあまりにも重荷だと言われた。悲しかった。つらかった。そして彼から別れを告げられたことは私の「女としての値打ち」を否定するもののようにまで感じられた。そんな日々が続くなか、私は「女性学」に出会い、「女は作られる」というキーワードに遭遇。目の前が明るくなった。啓示を得たようだった。「そう、人間として、私は、このままでいい」「このままの私でいいのだ」
   
3. 首都圏から遠く離れた地域では、周りの大人がこぞって私に「男」の教育をしてくれた。私がその社会で「男らしく」立派に生き抜いていけるために。思い返せば私の生まれもった性質は「男らしい」ものではなかったのかもしれない。けれど周囲の教えを疑うことなく素直に取り入れ、期待に沿い、着実に私は「男」になっていった。一方、今、この教室で「男の子だから」という教育を受けなかった都会育ちの同級生が何人も存在することを知った。自分がたった少し前まで正しいと信じて疑わず、それに沿って生きてきたもの、疑う余地さえ与えられなかった「男らしさ」それはいったい何だったのだろう?
 
 学生さんから寄せられた感想
ストレスで腹が痛くなった。赤の他人の話ほど聞いていて意見に違いがあるとイライラするのがわかった。(男性)
恥ずかしくて裸になれなかった。他人とは、これほど弱い人たちばかりなのか。(男性)
「即興で」ということだったけれど、役者さんの息がすごく合っていた。パターンAが存在するんじゃないかと思うほど。劇の2つめには本当、感動した。恋愛の浮かれ具合とか、「どうして!?」とか。(女性)
ジェンダーバイアスが「表現」として外から見れたのが驚きでした。また、「男性」と「女性」が入れ替わって演技するのも、やはり新鮮でした。また見たいです。(男性)
即興劇は初めてみました。ある人のストーリーをその場でイメージして劇にすることによって、またそれを客観的に見ることによって、そのテラーの体験をみんな共有しているのだなあと思いました。あと、役者さんの体の動きがテラーの気持ちと合っていて面白かったし、音楽もすっと耳に入ってきて、なんだか自分も動き出しそうでした。(女性)
こういう劇は初めて見たのですが、とても面白かったです。人の体験を劇で見ることで身近に感じました。ジェンダーを考えるときに、私自身女ですので女の側からばかり見てしまいがちですが、男の人も大変なのだなと思いました。(女性)
市民が市民から学ぶという発想にとても共感しました。(女性)
 
 プレイバッカーズのワークショップと即興劇
和光大学  井上輝子
 1995年の北京NGOフォーラムでプレイバックシアターと出会ってから、一度和光に来ていただこうと思いつつ、なかなか果たせずにいましたが、9年目の今年、やっと実現することができて、とてもうれしいです。
 参加型のパフォーマンスを企図して、大ホールの舞台ではなく、床のフラットな教室で開催しました。40人弱の学生が一緒に身体を動かすワークショップから参加し、とてもよい雰囲気で全体が進行したと思います。最初に皆でウォーミングアップの自己分類やリスごっこをし、身体を動かして雰囲気に慣れたところで、3人づつの小グループに分かれて、各自のジェンダー経験を語り合う。進行役の宗像さんの、参加者をぐいぐい引っ張っていく、堂に入った司会ぶりに感嘆!
 休憩をはさんで、いよいよ即興劇。自分の経験を演じてもらいたいと手を上げた学生に宗像さんがインタビュー。インタビューの直後に、二人の演技者の即興劇。演者のお二人の息がぴったり合っていること、また、学生の語りを聞いてすぐに、それをご自分の身体で表現できてしまうことに、本当に感動しました。即興的に楽器を使い分けてのBGMも素敵でした。
 こんなに素晴らしいパフォーマンスを提供して下さったプレイバッカーズの皆さん、本当にありがとうございました。自分の物語を劇にしていただいた3人の学生たちはもちろん、参加した学生たち皆にとって、とても良い体験だったと思います。機会があれば、また和光に来てください。

問合せ先
プレイバッカーズ代表 宗像佳代
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