りょうご園と私・家族
 ~おだやかな窓辺にあこがれて 3・11、あの時、あれから~

2012.1.22

日時 : 2012年1月22日(日)14:00~15:30
会場 : 福島整肢療護園
対象 : 福島整肢療護園スタッフ、その家族
人数 : 24人


●全体の流れ

導入:最近の仕事や家族とのことをインタビューし、体と声で表現する。(手法 動く彫刻)
 ・仕事の締め切りに追われ焦っていた。
 ・ほぼ1年ぶりに、散らかり放題だった職場の自分の部屋を片付けた。1年前の自分が考えていたことがわかるようなメモを発見したりして、片付けるのも悪くないなと思った。
 ・1歳半の子どもが熱を出していたのが治り、やっと外に出ることができ良かった。
 ・震災後、家にひびが入ったところがあったが気にしていなかった。ところが、つい最近、風呂場のドアが開かなくなり、これからこの家はどうなるのか不安になった。
 ・突然じんましんが出たため、ここへ来る前に病院に行かなければならなくなった。公演に間にあわないのではないかと焦った。
 
即興による再現ドラマ (手法 ストーリー)

「隠れていた虫」

 今朝、久しぶりに時間のある休日だったので、しっかりと部屋の掃除をすることにした。 すると、ちょっとした隙間から、蛾の死骸が出てきた。しばらく前から、そこにいたらしい。私は虫嫌いなのでとても嫌だったが、片付けてスッキリした。

「まさか、また?」

 先日、業務中に震度4の長い地震があった。理学療法士である私は、ある男の子の治療中だった。彼がとてもナーバスなこともあり、普段は冷静な私も焦ってしまった。まさか、あの地震がまたきたかという思いもよぎった。結局、何事もなくその時は終わった。事務から全館放送で地震の状況や被害の情報が流れることを期待したが最後までそれはなく、感覚のずれを感じた。

「できなかった私」

 3・11の地震があり原発事故が起こった後、ここの職員にも自主避難の判断が迫られることになった。皆がそれぞれに家族を持ち、抱えている状況も違うため、避難の判断は各職員に任されていた。個人的には、若い人には彼らが望むならば避難してもらい、またときがきたら戻ってきてほしいと思っていた。しかし、管理職である私がそれを言葉にしたら「一体、どれくらいの人がここに残るだろうか」と思い怖くて、それを口に出すことができなかった。そんな自分が残念でならない。4月になり、年度が変わる際、退職してこの地を去ってゆく人たちがいた。自分がもっと彼らと直接対話をしていたら何か違っていたのではないか。自分には、彼らを支えることができなかったのだと感じた。

「娘は福島の外へ」

 娘は、震災の1週間前に婚約をしたばかりだった。原発事故の直後、娘には将来の安全を考えて是が非でも福島から出てほしかったが、娘は「私たち親が一緒でなければ避難しない」と言った。しかし、私も夫も責任ある仕事をしており、家には年老いた両親を抱えているため、容易に避難できる状況ではなかった。もちろん、仕事も大事だが、大切な家族は絶対に守りたいと思った。結局、「先に行って部屋を探しておいて」と理由をつけて娘だけ送りだした。 その後は、私の気持ちも落ち着いた。 そして、3月20日、放射線講演会で状況を聞いてからは、まだ、ここにいても大丈夫だと思えるようになった。

アンケート記入・回収

<児童>より
◎震災直後を振り返って、見ながら思い出して泣いてしまい、当時のことがいかに心に残っていて忘れることのできない出来事だったのだと再確認した。忘れたくなるけど、忘れないでいて良いのかなと思った。
◎震災のストーリーでは、自分は思い出したくなかったことが、たくさんあるのだなと思った。今が必死なフリをして、思い出さないようにしていることに気付いた。また、他人の気持ちを想像することは大切なことだと改めて感じた。時間の経過とともに、他人のストーリーにのめり込むというか、役者のような気分になるところが不思議だった。
◎初めのストーリーを見るまでは、どのようなことをするのかわからずとまどったが、テラーの個人的経験を聞き、的確に心理的な変化の表現をしているなと感じた。「地震」の話をするだけで涙がでてしまう自分がいたことに気付いた。自分は大丈夫だと思っていたが、まだいろんな思いがあると客観視できた。一人ひとりのストーリーがあって、様々な想いを持っていたことに気付かされた。
◎心情の表現がとてもリアルで、その当時が思い出された。とともに、いつまでも忘れてはいけないことを改めて思った。各人いろいろな思いを持って仕事をしていたことがわかった。
◎見る前は役者さんが主役なのかと思っていたが、見てからはテラーが(自分たち自身が)主役なのだと思った。お互い近くにいるのに知らないことが多いなと思った。心の中の嫌なものときちんと向き合い、解決していかなければと思った。
◎自分の思いに自信を持っていいのかな、と思えた。思いが違うことはよくあることだったが、共有できていなかったかなと思った。プレイバックシアターは価値観をはさまず、気持ちを共有することができる良い手段だと思う。
◎素直に自分を見つめることが大切と思った。また、感情を表出する場があるのも大事だ。今日は、話したことで楽になった。それぞれの事例から、その人の心の動きが見えた。いつも心の揺れは誰にでもあるが、大人になるとそれを自制心でおさえてしまうことに気がついた。
 
<先生の感想>

◎今回の授業を通して、人前で表現することが好きな子、得意な子が、表現することの喜び、楽しさを知った。表現することが得意ではなく、自信がない子にも自信をつけてもらった。
国語の時間、いろんなことが言えるようになった。子どもたちは、今まで、みんな一緒が良いと思っていた。しかし、他の子と思いや意見が違っても良いと思えるようになった。自分の言ったことをみんなの前で、表現してもらい、自分らしさを認めてもらえた。子どもたちは、知らず知らずのうちに、このようなことを体験したのだと思う。打てば響く、小学生なので子どもたち一人ひとりの変化が大きかった。
私自身も勉強になった時間だった。


1. お友だちの話は聞けましたか?(26人回答)

聞けた どちらともいえない 聞けなかった
24人 1人 1人
92.4% 3.8% 3.8%

2. お友だちの気持ちはわかりましたか?(26人回答)

わかった どちらともいえない わからなかった
21人 4人 1人
80.8% 15.4% 3.8%

3. 自由に表現できましたか?(26人回答)

できた どちらともいえない できなかった
17人 7人 2人
65.4% 26.9% 7.7%

4. 「こうしよう」という、ひらめきがありましたか?(26人回答)

あった どちらともいえない なかった
16人 8人 2人
61.5% 30.8% 7.7%

5. お友だちと協力できましたか?(26人回答)

できた どちらともいえない できなかった
15人 10人 1人
57.7% 38.5% 3.8%

※ストーリー掲載にあたり、私たちは、ストーリーを語ってくださった方(テラー)のプライバシー保護のために、以下のことを遵守しています。
・事前にテラーの了解を得ています。
・テラーが特定できないように、表現に配慮しています。
Copyright© Playback AZ All Rights Reserved.