朝日小学生新聞/2003.10.12

獣医さんから 柴内 晶子

 先日、「プレイバックシアター」というお芝居の世界大会をのぞいてきました。以前このコーナーでご紹介した、犬たちのやさしいパパ、役者さんの丹下さんも続けているお芝居です。
 これはアメリカの男性が始めた演劇で、とてもおもしろい方法をとっています。舞台には、色とりどりの布と少しの楽器、俳優さん4,5人と、コンダクターという全体の進行をする人がいるだけです。ほかには舞台装置はありません。
 観客席からひとり、いまの自分の気持ちとか、何かのストーリーを話したいなあ、という人が前に出て舞台に上がり、コンダクターに話します。すると、それをよく聞いていた俳優さんたちがその場で何も打ち合わせをしないで、その人の気持ちやストーリーを演じてくれるのです。
 このことで、心がすっきりしなかった人や、悩んでいた人、嬉しくて仕方ないことがあってみんなに知って欲しかった人、気持ちを誰かに打ち明けたかった人などが元気を取り戻したり、何かを感じたりします。
 私も実は、この演劇に出会ったとき、この間お話したポン太郎との出会いと別れ、私が獣医師になった決心のもとの話をし、演じてもらいました。短い時間だけれど、とても印象的で面白いものでした。
 いつか、動物と暮らす家族の皆さんと一緒に、このプレイバックシアターをできたら楽しいんじゃないかしら、と思っています。特に、伴侶動物を亡くしたばかりで辛い気持ちを抱えているご家族の気持ちや、新しい子犬や子猫を迎えたばかりの人々の嬉しい悩みなどは、ただ話し合いをするよりも、お互いに良く分かり合えるような気がします。