2000年5月25日 【ホスピスケアと在宅ケア】Vol.8,No.2


2000年5月25日
【ホスピスケアと在宅ケア】Vol.8,No.2
第8回日本ホスピス・在宅ケア研究会
横浜大会抄録集


プレイバックシアター(即興ドラマ)の効果的活用について
宗像佳代
IPTN(国際プレイバックシアター協会)

プレイバックシアターは、1975年にニューヨーク郊外のミッドハドソンバレーという町で、ジョナサン・フォックスとその仲間である劇団オリジナルプレイバックシアターカンパニーによって創られました。プレイバックシアターは、参加者が自分の体験や気持ちを語り(テラー)、それをその場で役者たち(アクター)が即興で演じる独創的な即興演劇です。集団心理療法としてはもとより、教育、ワークショップ、そして臨床の場など、幅広い領域で活用されています。
医療のあり方、治すこと、癒すことが問われている今、私達が、生まれ、病み、老い、死ぬ、ということは、どういうことなのでしょうか。今日、明日、あさって、と決して途切れることのない鎖のような毎日に介護する人、される人、それぞれが真正面から立ち向かっていかなくてはならないにもかかわらず、疲れや苦悩はたまるばかりです。日々の苦悩、葛藤、口にできない不満や疑問を抱えながら、自分自身と、そして生命そのものとどのように向き合えばいいのか、簡単に答えは見つかりません。
プレイバックシアターでは、患者、家族、介護、看護、など、それぞれの立場でストレスを抱えている人達が自分の体験を語ります。そして、そこで語られた病や死に対する自分の気持ち、心の奥底の本音、家族への様々な思い、これまで打ち明けられなかった恐れや怒り、どうしようもない疲れやジレンマまでが、無条件で受け入れられ、ドラマとして演じられます。その場にいる全員が、目で、耳で、体で、語った人の体験を分かち合い身近な仲間になっていきます。つまり、今後の医療の在り方、また、口に出すことをためらう話題などを安心して率直に分かち合える仲間、場、そして機会、を提供するのがプレイバックシアターです。
世界各地で介護や生と死の問題を共に学び、分かち合うために使われているプレイバックシアターを「新しい明日を生きていくための手法」として提案します。これまで私たちが演じてきた、患者さんのお話、家族の方々の思い、介護する方、あるいは遺族となった方の過去と現在のストーリーの数々を紹介します。これらは、閉ざされた心が開き、窮屈だった自分の心に余裕ができ、「明日からはこうしたい」という希望や期待の種が心のなかに植え付けられてきた具体的事例です。